創業者・上野新兵衛を伝える掛け軸
-一本の掛け軸から始まった上野家の歴史-
掛け軸収納箱
掛け軸全景
七代目上野俊三による補足資料
第一章 蔵の奥から現れた、上野家の原点
上野家の蔵に長く大切に保管されていた一本の掛け軸。
その箱書きには、
「初代上野松次郎 真像」
と記されていました。
掛け軸には、威厳ある和装姿の人物が静かに座し、
上野家の創業期を偲ばせる空気をまとっています。
この一幅は、単なる肖像画ではなく、
上野家が代々守り伝えてきた”家の原点”そのものといえる資料です。
第二章 上野新兵衛という創業者
上野家では古くから、この人物を
創業者・上野新兵衛
として語り継いできました。
一方で、掛け軸箱書きには「初代上野松次郎」と記されており、
代を経る中で創業者像と初代松次郎が重ねて伝承されてきたことがうかがえます。
こうした表記の揺らぎもまた、
長い歴史をもつ家ならではの重みを感じさせます。
第三章 1768年、油屋松次郎の始まり
上野家の創業は1768年。
江戸時代中期、宇都宮の地で「油屋松次郎」として商いを始めたことに遡ります。
当時、灯火や生活に欠かせぬ油は、人々の暮らしを支える重要な商品でした。
地域の生活を支える誠実な商い。
その精神こそ、260年続く上野家の礎となりました。
第四章 家に伝わる経緯の記録
この掛け軸には、後年、七代目上野俊三による補足記録も添えられていました。
そこには、創業者への敬意とともに、
代々当主がこの肖像を大切に守ってきた思いが記されています。
つまりこの掛け軸は、
”絵”ではなく、家の精神を継ぐ象徴
だったのです。
第五章 現代の株式会社上野
創業者の時代から受け継がれてきたものは、
・信用
・誠実
・地域への貢献
・時代への適応
でした。
油屋松次郎に始まった商いは、
肥料商へ、
各時代の本家事業へ、
そして現在の株式会社上野へと受け継がれています。
260年の歴史は、過去の物語ではなく、
今も続く営みです。
次代に受け継ぐ視点
蔵の奥で静かに守られてきたこの掛け軸を初めて見たとき、
上野家の歴史は本や記録の中だけではなく、
”実物として今に残っている”のだと実感しました。
創業者の志を、九代目の時代にしっかり受け継いでいきたいと思います。
(上野拓也)
人物紹介
上野新兵衛(上野・創業者)【1746(延享3)年~1811(文化8)年】
上野家において創業者として語り継がれる人物。
1768年、宇都宮の地で油屋松次郎の礎を築いたとされる。
上野家の言い伝えでは、
初代上野松次郎(幼名:武房)の父で、
上野新兵衛が22歳のとき、
すなわち1768(明和5)年を以て上野家の創業年としている。
その精神は、現在の株式会社上野へと受け継がれている。
現在の上野家本家がある泉町ではなく、
材木町に於いて製油業を営み、
事業をスタートさせた。
1811(文化8)年8月27日に行年66歳で没す。
編集後記
一幅の掛け軸から始まる物語があります。
それは、
江戸中期、宇都宮の一角で始まった小さな商いが、
二百六十年の時を超えて
今へ続いていることを伝える記録でもあります。
【本企画について】
本アーカイブは、上野家に伝わる史料・写真・記録類をもとに、歴史資料として再構成した特別企画です。
・文章構成・編集:歴史アーカイブ制作チーム
・史料提供・内容監修:上野拓也(株式会社上野 代表取締役)