戦後復興と株式会社上野誕生
-七代目・上野俊三、八代目・上野泰男、そして現在へ-

 
戦後、
日本社会は大きく姿を変えていった。
 
地方経済、
金融、
商業、
暮らし、
そして人々の価値観。
 
それまで地域社会を支えてきた
多くの旧来産業も、
時代の変化のなかで
大きな転換を迫られていく。
 
そうした激動の時代のなか、
上野家もまた、
新たな時代への
再構築を歩み始めていた。
 
六代目・上野松次郎の時代を経て、
七代目・上野俊三、
そして八代目・上野泰男へ。
 
上野家は、
金融・肥料商の時代から、
「株式会社上野」という
新たな企業の姿へと変化していく。
 
それは、
単なる事業継承ではなかった。
 
戦後という大転換期
を生き抜きながら、
地域とともに歩み続けるための、
新たな挑戦の歴史
でもあったのである。
 

第一章 戦後復興の時代へ
 

 
戦後、
社会構造そのものが
大きく変化していくなかで、
地方企業にもまた、
新たな役割が
求められるようになっていった。
 
上野家もまた、
戦前までの金融・商工の時代から、
新しい時代への転換
を迫られていく。
 
そうしたなか、
七代目・上野俊三は、
家業を未来へつなぐため、
新たな時代への再出発
に取り組んでいった。
 
金融中心の時代から、
生活・住環境・地域産業
を支える時代へ。
 
その変化は、
現在の株式会社上野へと続く、
大きな転換点となっていく。
 

 
【七代目・上野俊三 肖像写真】
七代目・上野俊三の肖像写真
 
金融再編と戦後復興
の時代を受け継ぎ、
株式会社上野の
戦後発展の礎を築いた。
 

 
【戦後頃の上野ファミリー写真】
昭和30年頃、
松寿苑にて撮影された
上野本家の集合写真。
 
五代目妻・タミ、
六代目妻・まさ、
七代目・上野俊三、
八代目・上野泰男ら、
戦前から戦後へと
時代をつないだ
人々の姿が残されている。
 

 
【戦後頃の会社写真】
昭和25年頃の
上野松次郎商店(泉町本家)。
 
住友肥料の看板が掲げられ、
戦後復興期の肥料商
としての姿を今に伝えている。
 

第二章 松寿苑という時代
 

 
七代目・上野俊三の時代
を象徴する存在として、
松寿苑の存在は欠かせない。
 
松寿苑は、
戦前から続く
上野家の歴史を受け継ぎながら、
戦後の上野家を象徴する
空間として存在していた。
 
庭園、
建築、
人々の集い。
 
そこには、
単なる邸宅を超えた、
文化と記憶の空気
が流れていた。
 
七代目・俊三は、
そうした上野家の歴史資料
や記録も数多く残している。
 
現在の上野家260年歴史アーカイブ
の基盤となる資料群の多くも、
俊三による保存と記録
があったからこそ、
今日へ受け継がれているのである。
 

 
【昭和期の松寿苑全景写真】
昭和期の松寿苑。
 
宇都宮市民の「祝いの日」には
いつも松寿苑があった。
 

 
【松寿苑 生い立ち略記】
(上野俊三筆)
上野俊三直筆による、
「松寿苑の生い立ち略記」。
 
松寿苑の成立から、
その後の変遷に至る歴史が、
一枚の記録として
残されている。
 

 
【松寿苑 庭園写真】
四季折々の庭園は、
松寿苑を訪れる人々を
静かに迎えていた。
 
その空間には
上野家が守り
継いできた
”もてなし”の思想が
息づいていた。
 

第三章 八代目・上野泰男の時代
 

 
【ホテルサンシャイン全景写真】
ホテルサンシャインは、
八代目・上野泰男の時代を
象徴する事業の一つであった。
時代の変化に応じた新たな挑戦は、
当時の宇都宮駅東口の
発展とも重なっていた。
 

 
高度経済成長期を迎えるなか、
株式会社上野もまた、
新たな挑戦を続けていく。
 
八代目・上野泰男の時代、
ホテル事業、
コンピュータービジネスなど、
当時としては先進的な
新規事業にも積極的に取り組んだ。
 
社会が大きく変化していくなかで、
地域企業もまた、
時代に応じた
変化を求められていたのである。
 
一方で、
祖業として続いてきた事業も、
着実に継承されていった。
 
肥料事業は、
現在のアグリ事業部へ。
 
内装事業は、
現在のインテリア事業部へ。
 
時代ごとに姿を変えながらも、
地域に必要とされる
企業としての歩みは、
絶えることなく
続いていったのである。
 

 
【ホテルサンシャイン
パンフレット-代表挨拶文】
八代目・上野泰男は、
時代の変化のなかで、
「次の世代への新たな出発」
を語っていた。
 

 
【サンシャインコンピューターサービス
-会社封筒】
サンシャインコンピューターサービス
地方企業として早い時期から
コンピュータービジネスへの
挑戦も行われていた。
 

第四章 株式会社上野、現在へ
 

 
【株式会社上野 社屋写真】
現在の株式会社上野の社屋写真。
 

 
そして現在。
 
株式会社上野は、
インテリア事業部、
アグリ事業部
という二つの柱を中心に、
地域とともに歩み続けている。
 
創業以来、
時代は大きく変わった。
 
しかし、
「地域に必要とされる存在であり続ける」
という精神は、
今も変わることなく受け継がれている。
 
その積み重ねの先に、
現在の株式会社上野
が存在しているのである。
 

 
【株式会社上野 肥料倉庫】
最近の株式会社上野、事業風景。
肥料がずらりと並んだ肥料倉庫。
 

 
【私の履歴者-株式会社上野】
株式会社上野の会社案内資料。
 

むすびに
 

 
戦後復興、
高度経済成長、
新規事業への挑戦、
そして時代の変化。
 
七代目・上野俊三、
八代目・上野泰男の時代は、
まさに「変化への対応」
の歴史でもあった。
 
そのなかで、
消えていった事業もある。
 
失われた建物もある。
 
ホテルサンシャインの事業形態も、
時代とともに変化し、
現在は別運営によって
その名称が継承されている。
 
また、
松寿苑本店、
そしてホテル内に存在した
松寿苑別館も、
それぞれの役割を
終えることとなった。
 
しかし、
上野泰男の時代に築かれた
「地域に新たな都市空間
を生み出そうとした挑戦」の記憶は、
いまなおこの地に
静かに残されている。
 
そして、
戦前から受け継がれてきた
「もてなし」
の思想もまた、
形を変えながら、
上野家の歩みの中に
受け継がれてきた。
 
祖業の精神と、
地域とのつながり。
 
それらは時代ごとに
姿を変えながら、
確かに現在へと
受け継がれている。
 
株式会社上野の歴史とは、
単なる企業存続の歴史ではない。
 
時代ごとに
役割を変えながら、
地域社会に必要とされ続けてきた、
継承と挑戦の歴史なのである。
 

特別資料編
 

 
【写真①】
『七代目・上野俊三 肖像写真』
 
【写真②】
『戦後頃の上野ファミリー写真』
 
【写真③】
『戦後頃の会社写真』
 
【写真④】
『昭和期の松寿苑全景写真』
 
【写真⑤】
『松寿苑 生い立ち略記(上野俊三直筆)』
 
【写真⑥】
『松寿苑庭園写真』
 
【写真⑦】
『ホテルサンシャイン全景写真』
 
【写真⑧】
『ホテルサンシャインパンフレット-代表挨拶』
 
【写真⑨】
『サンシャインコンピュータサービス封筒』
 
【写真⑩】
『現在の株式会社上野の社屋写真』
 
【写真⑪】
『株式会社上野 肥料部倉庫』
 
【写真⑫】
『私の履歴書-株式会社上野』
 
【写真⑬】
『老舗企業特集-株式会社上野』
 
写真①~⑬については、本文中で紹介。
 

 
【特別資料①】
『ホテルサンシャイン
新館増築パンフレット-代表挨拶』

ホテルサンシャインの
新館増築後のパンフレット。
代表取締役 上野泰男の挨拶文
が記載されている。
 

 
【特別資料②】
『ホテルサンシャイン
新館増築パンフレット-内容紹介』

ホテルサンシャイン
新館増設後のパンフレット内容紹介。
 

 
【特別資料③】
『ホテルサンシャイン
新館増設後パンフレット』
松寿苑別館の紹介部分拡大

松寿苑の文化的空間は、
ホテルサンシャインの時代
にも受け継がれていた。
戦前から続く上野家の
“もてなし”の思想は、
新たな都市空間の中にも
生きていたのである。
 

 
【特別資料④】
『ホテルサンシャイン
パンフレット表紙』

ホテルサンシャイン
ご案内パンフレットの表紙
 

編集後記
 

 
現在の
上野家260年歴史アーカイブは、
単なる過去資料の整理ではない。
 
七代目・上野俊三が残した資料、
八代目・上野泰男が遺した
『私の物語』。
 
それらは、
現在へ向けた
「継承の記録」でもあった。
 
そしてその記録は、
現在の株式会社上野理念体系、
フィロソフィー構築
へとつながっている。
 
過去を知ることは、
未来を考えることでもある。
 
この第七幕は、
歴史の終着点ではなく、
現在へ続く
新たな出発点なのである。
 

 
【老舗企業特集-株式会社上野】
宇都宮商工会議所
「老舗企業特集」(2009年)
に連載された記憶。
 
八代目・上野泰男と、
九代目への続く世代。
 
受け継がれてきたのは、
単なる家業ではなく、
時代に応じて
役割を変え続ける
”継承の思想”であった。
 

次世代へ継ぐメッセージ
 

 
時代は変わり続ける。
 
事業も、
社会も、
人々の暮らしも変わっていく。
 
しかし、
地域に必要とされる
存在でありたいという思いは、
時代を超えて受け継がれてきた。
 
上野家260年の歴史とは、
変化しながら
継承してきた歴史でもある。
 
その歩みは、
現在の株式会社上野、
そしてこれから先の未来へ、
静かにつながっていくのである。
 

【関連特集記事】
最終幕|継承と現在
▶ 『九代目として』へ

【本企画について】
本アーカイブは、
上野家に伝わる史料・写真・記録類をもとに、
歴史資料として再構成した特別企画です。
・文章構成・編集:歴史アーカイブ制作チーム
・史料提供・内容監修:上野拓也
(株式会社上野 代表取締役)